- 蘭姐麗(らんじぇりー)
女性向け風俗と私・ネットで検索した活動家Dの場合

2018/9/24
■これまでのお話
Aは直前にキャンセル、Bはガチタントラ施術に私がついていけず、Cはマッサージもそこそこに露骨なセックスしましょう~のお誘いに呆れて、最後の有料施術師Dに望みを託す。
駅から少し離れたDのサロン。駅までお迎えに行きましょうか?とメールが来た。
待ち合わせは人目もあるし、気乗りしない私は「大丈夫です」とひと言送った。
気遣いの出来る優しい人なのかなと思ったけれど、警戒心は弱めたくなかった。
指定された、マンションへ行くと、Dが明るく出迎えてくれた。
「駅から遠くて、申し訳ないです。来てくれてありがとう」
思わず私は固まった。鍼灸院の先生と、雰囲気が似ていたからだ。
歳も先生と同じで話しやすい印象。
「中へどうぞ」
ドキドキしながら中へ入る。薄暗い室内は、綺麗に整頓されていて、
南国風のインテリアや飾りつけも不思議と心が和んだ。
1人目Aのドタキャン、2人目Bのガチタントラ、3人目Cの蚊男の散々な思いからようやく
開放されるような気分だった。が焦ってはいけない、まだ安心してる段階ではない。
男と女そのどちらも、豹変する生き物なんだ。
カウンセリングの後シャワーに案内され、施術ベッドにうつ伏せになると、全身を軽く
揉み解してくれる。鍼灸院の先生のように、大きくて分厚く柔らかい手だった。
的確に凝っているポイントを解してくれる手に、私の警戒心もだいぶ無くなりつつあった。
それよりも、タオル越しでなく、早くじかに触れてほしい。早く・・・じかに・・・。
この人なら大丈夫かも・・・そんな思いだった。
「それではオイルを使ってマッサージしていきますね。」
オイルボトルをプッシュする音、慣れた手つきで手にのせたオイルを温めながら、サーッと
ダイナミックに私の体に塗り広げていく。
足先からふくらはぎ、ふともも、お尻を通過し、背骨、肩甲骨、肩までくると、その手は折り返し、また大きなストロークで足元まで戻っていく。
(何なんだろ、この感覚は・・・。今まで経験したことないくらい気持ちいい・・・。)
いわゆるリンパドレナージュという技法だけれど、BとCの撫でるだけのマッサージと違った。さらにDの手はとても温かい。手とオイルと私の肌が溶けて一体化するような不思議な感覚だった。頭からつま先まで全身を電流が走るような快感を感じた。
(もっともっと気持ち良くなりたい・・・彼なら大丈夫かも。)
彼の施術のリズムに合わせて、私も呼吸を合わせた。目を閉じ鼻から大きく息を吸いこみ
ゆっくりゆっくりと吐きだす。心も無になり体の感覚もより分かりやすくなる。
感覚が研ぎ澄まされ、受けることに集中した。
薄暗い照明、ガムラン音楽、アロマの香り、すべてがベストマッチしていた。
過去にもそんな経験があった。施術側と受け手の呼吸が合うと心もシンクロし、その快感はセックスで得られる快感に近く、とても満たされる思い。
充分にほぐされ、オイルマッサージで心も体も柔らかくなった私の肌はしっとりとし、
血流がよくなり、艶も良くなっていた。ふと、女である事を思い出した夜のことを思い出した。気持ちがいいと、涙が自然にでるもので。
「泣いてるの?」
「あまりにも気持ち良くて・・・」
「それなら良かった、俺もうれしいです。」
時計に目をやると、施術時間も終わりに近づいていた。 帰りたくない、現実に戻りたくない・・・。
ひととおり施術が終わると、ホットタオルで丁寧にオイルをふき取ってくれた。
私は力も抜けて赤ん坊のように無抵抗だった。裸を見られて恥ずかしいなどいう
気持ちも無くなっていた。
最後、あの時の先生と同じように、彼は私を抱き起こすようにした。
私はそのまま彼に体を預けた。自然にどちらからともなくキスをした。
色々葛藤したけれど、それ以上引き返すことは出来なかった。
結局、彼と私は一線を越えた。
いけない事・・・わかっている、でも止まなかった・・・。
セックスって・・・?愛って?
恋愛、結婚、出産、離婚・・・私の人生は何なんだろう?
一体どこに向おうとしているの・・・・?
この出会いが私の人生を大きく変えたといえる。
快楽を知ると共に、特別な感情を持ってしまった私の心は辛かった。
~つづく~
恋多き女☆らんじぇりー